研究資料に戻る ヴェーダ固有名詞・事項索引Vedic Index of Names and Subjects

Oの部

Ogaṇa§

Ogaṇa は Ṛgveda1 に一度のみ複数形で現れる語であり、そこでは讃歌の作者たる聖仙に敵対する人々を指し、明らかにアーリヤの宗教に敵対する者と思われる。Ludwig2 はこの語を或る民族の固有名詞とみなすが、Pischel3 はこれが Pāli におけると同じく、単に「弱き」を意味する形容詞(ogaṇa = ava-gaṇa)にすぎないと考える。

  • 1x. 89, 15.
  • 2Translation of the Rigveda, 5, 209.
  • 3Vedische Studien, 2, 191, 192.

Otu§

Otu はヴェーダ文献1 において機織における「緯(よこいと)」を指し、「経(たていと)」たる Tantu に対応する。これら二語の由来する語根 2「織る」と tan3「張る」とは、並行する意味で用いられる。機織の過程においては梭(Tasara)が用いられた。「織り手」は vāya4 と称され、「機」は veman5 と称される。木の杭(Mayūkha)が織物を張るのに用いられ、

他方これを伸ばすための錘としては鉛が用いられた。6

機織の仕事はおそらく女性の特別な務めであった。7 Atharvaveda8 の一つの隠喩は、夜と昼とを、年という織物を織る二人の姉妹に擬人化し、夜が経糸、昼が緯糸として役立つとする。

  • 1Rv. vi. 9, 2. 3; Av. xiv. 2, 51; Taittirīya Saṃhitā, vi. 1, 1, 4 等。
  • 2Rv. vi. 9, 2 等。
  • 3Vājasaneyi Saṃhitā, xix. 80; Rv. x. 130, 2; Av. x. 7, 43 等。
  • 4Rv. x. 26, 6 等。
  • 5Vājasaneyi Saṃhitā, xix. 83.
  • 6Vājasaneyi Saṃhitā, xix. 80.
  • 7Av. x. 7, 42; xiv. 2, 51. Cf. Rv. i. 92, 3.
  • 8x. 7, 42; Taittirīya Brāhmaṇa, ii. 5, 5, 3. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 254, 255; Muir, Sanskrit Texts, 5, 465.

Odana§

Odana は一般的な語であり1、通常は乳とともに炊いた穀物の料理(kṣīra-pākam odanam)2 を指す。特別な種類が言及されており、例えば「乳の料理」(kṣīraudana)3、「凝乳の料理」(dadhy-odana)4、「豆の料理」(mudgaudana)5、「胡麻の料理」(tilaudana)6、「水の料理」(udaudana)7、「肉の料理」(māṃsaudana)8、「酥の料理」(ghṛtaudana)9 等である。

  • 1Rv. viii. 69, 14 等; Av. iv. 14, 7 等。
  • 2Rv. viii. 77, 10.
  • 3Śatapatha Brāhmaṇa, ii. 5, 3, 4; xi. 5, 7, 5; Bṛhadāraṇyaka Upaniṣad, vi. 4, 13.
  • 4Bṛhadāraṇyaka Upaniṣad, vi. 4, 14.
  • 5Śāṅkhāyana Āraṇyaka, xii. 8.
  • 6Ibid.; Bṛhadāraṇyaka Upaniṣad, vi. 4, 15.
  • 7Ibid., vi. 4, 15.
  • 8Ibid., vi. 4, 16; Śatapatha Brāhmaṇa, xi. 5, 7, 5; Śāṅkhāyana Āraṇyaka, xii. 8.
  • 9Śāṅkhāyana Āraṇyaka, xii. 8.

Opaśa§

Opaśa はいささか意味の不確かな語であり、Ṛgveda1、Atharvaveda2、および時に後代の文献3 に現れる。それはおそらく、とりわけ女性の4 結髪に用いられる「編み髪」を意味するが、より早い時代には5 明らかに男性についても用いられた。女神 Sinīvālī は svaupaśā6 と呼ばれる。これは意味の不確かな形容辞であるが、Zimmer7 はここから、

付け髪の着用がヴェーダ時代に知られぬわけではなかったと推測する。pṛthu ṣṭuka8「広い編み髪を有する」および viṣita-ṣṭuka9「編み髪をほどいた」という形容辞に言及される編み髪と Opaśa との相違がいかなるものであったかは、入手しうる証拠からは明らかにしえない。Geldner10 は原義が「角」であったと考え、この語が Indra に適用される場合11 には「宝冠」を意味すると考える。

  • 1x. 85, 8. Cf. i. 173, 6; viii. 14, 5; ix. 71, 1.
  • 2vi. 138, 1. 2; ix. 3, 8。同箇所では家の屋根を記述するのに比喩的に適用されている。
  • 3Pañcaviṃśa Brāhmaṇa, iv. 1, 1.
  • 4Av. vi. 138, 1, 2.
  • 5Rv. i. 173, 6; viii. 14, 5.
  • 6Taittirīya Saṃhitā, iv. 1, 5, 3; Maitrāyaṇī Saṃhitā, ii. 7, 5; Vājasaneyi Saṃhitā, xi. 56. 読みは不確かである。Bloomfield(下記参照)は sv-opaśā が正しい形であると想定する(「美しい opaśa を有する」)。
  • 7Altindisches Leben, 264.
  • 8Rv. x. 86, 8.
  • 9Rv. i. 167, 5(Rodasī について)。
  • 10Vedische Studien, 1, 131。Pañcaviṃśa Brāhmaṇa, xiii. 4, 3 を引く。同箇所では dvy-epaśāḥ が牛について用いられているが、その意味は比喩的かもしれない。
  • 11Rv. viii. 14, 5. Cf. Bloomfield, Hymns of the Atharvaveda, 538, 539; Whitney, Translation of the Atharvaveda, 348.

Oṣadhi§

Oṣadhi. ── 大まかに言えば、ヴェーダ文献1 において植物界は Oṣadhi ないし Vīrudh「草本」と、Vana ないし Vṛkṣa「樹木」とに分けられる。Oṣadhi は Vīrudh と対比して用いられる場合、治癒力その他人間に有用な性質を有するものとしての植物を指すのに対し、Vīrudh はむしろ小さな植生を表す総称的な語である。しかし時には2、Oṣadhi とならんで現れる場合、薬効を持たぬ植物を意味する。

植物を構成する小部分の一覧が後期の諸 Saṃhitā3 に与えられている。それは根(mūla)、穂(tūla)、茎(kāṇḍa)、小枝(valśa)、花(puṣpa)、果実(phala)から成る。他方、樹木4 はこれに加えて幹の上部(skandha)、枝(śākhā)、葉(parṇa)を有する。Atharvaveda5 は植物の精緻な ── もっともあまり理解しやすくはない ── 区分を与えており、それは広がるもの(pra-stṛṇatīḥ)、叢生するもの(stambinīḥ)、単一の鞘を有するもの(eka-śuṅgāḥ)、蔓性のもの(pra-tanvatīḥ)、多くの茎を有するもの(aṃśumatīḥ)、

節を有するもの(kāṇḍinīḥ)、枝を広げるもの(vi-śākhāḥ)である。Ṛgveda6 においては植物は「実を結ぶもの」(phalinīḥ)、「花咲くもの」(puṣpavatīḥ)、「花を有するもの」(pra-sūvarīḥ)と称される。

  • 1Rv. x. 97 および随所。Oṣadhi-vanaspati は Śatapatha Brāhmaṇa(vi. 1, 1, 12)以降しばしば見られる複合語である。植物の薬効は、Av. xii. 1, 2 において植物に適用される「多様な効力を有する」(nānā-vīryā)という形容辞を説明する。
  • 2Taittirīya Saṃhitā, ii. 5, 3, 2.
  • 3Ibid., vii. 3, 19, 1; Vājasaneyi Saṃhitā, xxii. 28.
  • 4Taittirīya Saṃhitā, vii. 3, 20, 1. Cf. Rv. i. 32, 5; Av. x. 7, 38.
  • 5viii. 7, 4、Whitney の注とともに。Cf. Bloomfield, Hymns of the Atharvaveda, 579; Henry, Les livres VIII. et IX. de l'Atharvavéda, 58 et seq.
  • 6x. 97, 3. 15. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 57.