Ghṛta、現代の Ghee すなわち「澄ましバター」は、Ṛgveda1 および後代2 において、日常の用具としても慣例的な供犠の形態としても繰り返し言及される。Aitareya Brāhmaṇa への Sāyaṇa の注釈3 における引用によれば、Ghṛta と Sarpis との区別は、後者が完全に溶けたバターであるのに対し、前者は溶かして固めた(ghanī-bhūta)バターであるという点にあった。しかしこの区別を強く主張することはできない。バターが火中に投ぜられるがゆえに、Agni は「バターを面とする」(ghṛta-pratīka)4、「バターを背とする」(ghṛta-pṛṣṭha)5、「バターによって宥められた」(ghṛta-prasatta)6、「バターを愛する」(ghṛta-prī)7 と称される。バターを浄めるのに水が用いられた。それゆえ水は「バターを浄めるもの」(ghṛta-pū)と呼ばれた。8 Aitareya Brāhmaṇa9 においては、Ājya、Ghṛta、Āyuta、Navanīta がそれぞれ神々、人間、Pitṛ、胎児に属すると言われる。
(訳注:底本ではこの項の脚注8の典拠が脱落し、脚注9として印刷されるべき「i. 3」が脚注8の位置に置かれている。番号順に整えた。)
- 1i. 134, 6; ii. 10, 4; iv. 10, 6; 58, 5. 7. 9; v. 12, 1 等。
- 2Vājasaneyi Saṃhitā, ii. 22 等; Av. iii. 13, 5 等; Śatapatha Brāhmaṇa, i. 8, 1, 7(Dadhi、Mastu、Amikṣā とともに); ix. 2, 1, 1(Dadhi、Madhu、Ghṛta)等。
- 3i. 3(Aufrecht 校訂本 p. 240)。
- 4Rv. i. 143, 7; iii. 1, 18; v. 11, 1; x. 21, 7 等。
- 5Rv. i. 164, 1; v. 4, 3; 37, 1; vii. 2, 4 等。
- 6Rv. v. 15, 1.
- 7Av. xii. 1, 20; xviii. 4, 41.
- 8〔典拠の記載を欠く。〕
- 9i. 3. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 227.