研究資料に戻る ヴェーダ固有名詞・事項索引Vedic Index of Names and Subjects

KHの部

Kha§

Kha は Ṛgveda1 および後代2 において、車軸が差し込まれる轂の穴を指す。荷車(Anas)と戦車(Ratha)とでは、車輪の穴の大きさに違いがあったと思われる。3 1. Yuga をも見よ。

  • 1Rv. viii. 77, 3; 91, 7; x. 156, 3。同箇所では Kha のみが言及される。Cf. 形容詞 su-kha、「良い軸穴を有する」「軽快に走る」。後代には「快適な」。
  • 2Bṛhadāraṇyaka Upaniṣad, v. 12, 1(Mādhyaṃdina 伝本。Kāṇva 伝本では v. 10, 1)。
  • 3Jaiminīya Upaniṣad Brāhmaṇa, i. 3, 6; Geldner, Vedische Studien, 2, 333. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 247.

Khaṅga§

Khaṅga. Khaḍga を見よ。

Khaḍga§

Khaḍga は Maitrāyaṇī Saṃhitā1 における或る動物の名の読みであり、Vājasaneyi Saṃhitā2 の本文においては Khaṅga とも Khaḍga とも種々に現れる。犀が意味されていることは明らかと思われる。3 Śāṅkhāyana Śrauta Sūtra4 においては、犀の皮が戦車の覆いとして言及されている。

  • 1iii. 14, 21.
  • 2xxiv. 40.
  • 3Zimmer, Altindisches Leben, 86.
  • 4xiv. 33, 26(khāḍga-kavaca aśvaratha)。

Khaṇḍika Audbhāri§

Khaṇḍika Audbhāri(「Udbhāra の後裔」)は、Śatapatha Brāhmaṇa1 において Keśin の師として、また Maitrāyaṇī Saṃhitā2 において祭主として Keśin に打ち負かされた者として言及されている。Khāṇḍika が Baudhāyana Śrauta Sūtra3 において Keśin の敵として現れる。

  • 1xi. 8, 4, 1.
  • 2i. 4, 12。同箇所では写本の読みが Ṣaṇḍika である。
  • 3Caland, Über das rituelle Sūtra des Baudhāyana, 20.

Khadira§

Khadira は Ṛgveda1 以降2 しばしば、硬い材を有する樹3 ── Acacia catechu ── として言及される。Aśvattha がこれに自らを接ぎ木することが Atharvaveda4 に言及されており、

またそこから蔓性植物 Arundhatī が生じたと言われる。5 sruva すなわち祭祀用の匙がこれから作られたと語られるが6、疑いなくその硬さのゆえである。同じ箇所ではまた、それが Gāyatrī の樹液(rasa)から生じたとも言われる。後代のように、その心材から Catechu(阿仙薬)が作られたことへの明瞭な言及はない。7 心材(sāra)は護符を作るのに用いられた。8

  • 1iii. 53, 19.
  • 2Av. iii. 6, 1; v. 5, 5; viii. 8, 3; x. 6, 6; Maitrāyaṇī Saṃhitā, iii. 9, 3 等。かくして khādira、「Khadira 材で作られた」は Taittirīya Saṃhitā, iii. 5, 7, 1; Aitareya Brāhmaṇa, ii. 1; Śatapatha Brāhmaṇa, i. 3, 3, 20; iii. 6, 2, 12 等に。
  • 3Av. x. 6, 6.
  • 4iii. 6, 1. Cf. viii. 8, 3.
  • 5Av. v. 5, 5.
  • 6Taittirīya Saṃhitā, iii. 5, 7, 1.
  • 7Śatapatha Brāhmaṇa, xiii. 4, 4, 9 においては bahu-sāra、「大いなる強さを有する」と呼ばれている。
  • 8Śāṅkhāyana Āraṇyaka, xii. 8. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 58.

Kha-dyota§

Kha-dyota(「空を照らすもの」)、「蛍」は、Chāndogya Upaniṣad(vi. 7, 3. 5)に言及されている。

Khanitra§

Khanitra、掘るための「鋤」ないし「鍬」は、Ṛgveda1 および後代2 に言及されている。

  • 1i. 179, 6(おそらく比喩的である。Oldenberg, Ṛgveda-Noten, 1, 172 を見よ。この箇所は不明瞭である)。
  • 2Lāṭyāyana Śrauta Sūtra, viii. 2, 4 等。

Khanitrima§

Khanitrima、「掘ることによって生じた」は、āpaḥ「水」の形容辞として、Ṛgveda1 および Atharvaveda2 の時代に行われていたような灌漑に用いられる人工の水路を明瞭に指している。

  • 1vii. 49, 2.
  • 2i. 6, 4; xix. 2, 2. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 236; Muir, Sanskrit Texts, 5, 466.

Khara§

Khara、「驢馬」は、Aitareya Āraṇyaka1 に言及され、そこでは驢馬の一組に触れられている。おそらく Śatapatha Brāhmaṇa2 の諸箇所 ── そこではこの語が祭具を載せる土の高まりを指すのに用いられる ── は、「驢馬」の意を前提としており、その高まりがこの形に造られたためであろう。3

  • 1iii. 2, 4.
  • 2v. 1, 2, 15; xiv. 1, 2, 17; 2, 2, 30.
  • 3Cf. St. Petersburg Dictionary, s.v.

Khargalā§

Khargalā は Ṛgveda の一箇所1 に言及される「梟」ないし他の夜行性の鳥である。

  • 1vii. 104, 17. Cf. Kauśika Sūtra, 107; Zimmer, Altindisches Leben, 93.

Kharjūra§

Kharjūra は樹木(Phoenix silvestris、ナツメヤシ)の名であり、Yajurveda1 に言及されている。

  • 1Taittirīya Saṃhitā, ii. 4, 9, 2; Kāṭhaka Saṃhitā, xi. 10; xxxvi. 7. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 63.

Khala§

Khala、「脱穀場」は、Ṛgveda1 および Atharvaveda2 に言及されている。Kṛṣi を見よ。

  • 1x. 48, 7; Nirukta, iii. 10.
  • 2xi. 3, 9。khala-ja、「脱穀場で生じた」、viii. 6, 15。khalya、「脱穀場にある」、Maitrāyaṇī Saṃhitā, ii. 9, 6. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 238.

Khala-kula§

Khala-kula は Bṛhadāraṇyaka Upaniṣad1 に現れる語であり、そこで Sāyaṇa はこれを Kulattha、一種の豆(Dolichos uniflorus)で注解している。

  • 1vi. 3, 22(Mādhyaṃdina 伝本 = vi. 3, 13、Kāṇva 伝本)。Cf. Weber, Indische Studien, 1, 355.

Khalva§

Khalva は或る種の穀物ないし豆科の植物であり、Weber1 の考えるように、おそらく Phaseolus radiatus である。それは Vājasaneyi Saṃhitā2 においてあらゆる種類の他の穀物とともに言及され、また Atharvaveda3 においては Dṛṣad で砕かれるものとして言及される。それはまた Bṛhadāraṇyaka Upaniṣad4 にも現れ、そこで Śaṅkara はこれを niṣpāva で注解している。

  • 1Indische Studien, 1, 355.
  • 2xviii. 12。同箇所で Mahīdhara はこれを caṇaka、「ひよこ豆」で注解する。
  • 3ii. 31, 1; v. 23, 8.
  • 4vi. 3, 22(Mādhyaṃdina 伝本 = vi. 3, 13、Kāṇva 伝本)。 Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 241.

Khāṇḍava§

Khāṇḍava は Taittirīya Āraṇyaka1 において Kurukṣetra の境界の一つとして言及されている。これが Mahābhārata の名高い Khāṇḍava の森と同一であることを疑う理由はないと思われる。この名は Pañcaviṃśa Brāhmaṇa2 および Śāṭyāyanaka3 にも現れる。

  • 1v. 1, 1.
  • 2xxv. 3, 6.
  • 3Max Müller, Ṛgveda,² iv. ci. Cf. Weber, Indische Studien, 1, 78.

Khādi§

Khādi は Ṛgveda に頻繁に現れ、足環1 ないし腕環2、時には手の指環3 を指す。Max Müller4 はこの語が輪状の投擲武器、すなわち後代の Cakra を意味すると考える。5 これらの環は時に黄金製であった。6

  • 1v. 54, 11、またおそらく 53, 4。
  • 2肩における Khādi はこれを意味するに違いない。i. 166, 9; vii. 56, 13.
  • 3i. 168, 3。khādi-hasta、「手に環をつけた」、v. 58, 2. Roth は vi. 16, 40 の Khādin をかく解する。St. Petersburg Dictionary, s.v. Khādin は ii. 34, 2; x. 38, 1 にも現れる。
  • 4Sacred Books of the East, 32, 120, 230.
  • 5Cf. vṛṣa-khādi, Rv. i. 64, 10.
  • 6Hiraṇya-khādi, Śāṅkhāyana Śrauta Sūtra, iii. 5, 12; viii. 23, 6. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 262; Muir, Sanskrit Texts, 5, 149.

Khārī§

Khārī は Ṛgveda の一箇所1 において Soma の量を表す。

  • 1iv. 32, 17. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 280.

Khārgali§

Khārgali、「Khargalā ないし Khṛgala の後裔」は、Luśākapi の母称ないし父称である。1

  • 1Kāṭhaka Saṃhitā, xxx. 2; Pañcaviṃśa Brāhmaṇa, xvii. 4, 3.

Khila 1§

1. Khila1Khilya2 は同じ意味を有すると思われる。Roth3 によれば、これらの語は耕地の間に横たわる荒地を指す。しかし彼は、神が崇拝者を破れざる Khilya の上に置く(abhinne khilye)と言われる Ṛgveda4 の箇所にこの意味が適合しないことを認め、それゆえ akhilya-bhinne、「不毛の帯によって断たれざる土地」という読みを推測する。Pischel5 は、意図されている意味が、共同体の家畜の放牧に用いられ、耕地によって断たれていない広い土地であると考える。しかし Oldenberg6 は、その意味がむしろ耕地の間に横たわる土地であるが、Roth が考えたように不毛であったとみなす必要はないと指摘する。これは、ヴェーダ時代においてすでに個別の田が知られていたという事実と合致する。Kṣetra を見よ。

  • 1Av. vii. 115, 4; Śatapatha Brāhmaṇa, viii. 3, 4, 1.
  • 2Rv. vi. 28, 2; x. 142, 3.
  • 3St. Petersburg Dictionary, s.v. Av., loc. cit. への Whitney の注も同様。
  • 4vi. 28, 2.
  • 5Vedische Studien, 2, 205.
  • 6Ṛgveda-Noten, 1, 385, 386. Cf. Zimmer, Altindisches Leben, 236; Ludwig, Translation of the Rigveda, 3, 499; Keith, Journal of the Royal Asiatic Society, 1910, 228.

Khila 2§

2. Khila は、Ṛgveda の伝承本文に付加された或る種の讃歌の呼称としては、Sūtra 期にのみ現れる。1 この語は前項の語の比喩的な適用であり、「満たされていない空間」「補遺」の意である。

  • 1Scheftelowitz, Die Apokryphen des Ṛgveda, 16 et seq. を見よ。

Khṛgala§

Khṛgala、あるいは Atharvaveda の Paippalāda 伝本1 が有するように Khugila は、二箇所にのみ ── Ṛgveda2 に一度、Atharvaveda1 に一度 ── 見出される不明瞭な語である。前者においては「松葉杖」という意味が要求されると思われる。後者においては Sāyaṇa がこれを「甲冑」(tanu-trāṇa)で注解するが、その意味はまったく不確かである。

(訳注:底本ではこの項の脚注1が二度重複して現れる。電子テキスト側の複製誤りと判断し、一つに整理した。)

  • 1iii. 9, 3.
  • 2ii. 39, 4. Cf. Bloomfield, Hymns of the Atharvaveda, 340; Whitney, Translation of the Atharvaveda, 98.

Khela§

Khela は Ṛgveda の一箇所1 に現れる。Pischel2 はそこで神 Vivasvant が意味されており、彼を讃えて競走が行われたと考え、ājā khelasya という句を「Khela の競走において」と説明する。Roth3 は人が意味されていると考え、Sieg4 は Sāyaṇa に従って、そこに Agastya を Purohita とした王を見る。Aṃśu をも見よ。

  • 1i. 116, 15.
  • 2Vedische Studien, 1, 171-173.
  • 3St. Petersburg Dictionary, s.v.
  • 4Die Sagenstoffe des Ṛgveda, 127, 128. Cf. Ludwig, Translation of the Rigveda, 4, 28.